新しさを生み出すメカニズム:その10、アイディアからアイディアを生む

Mechanism

これまでに、イノベーション・ワークショップを観察し発見した新しさを生み出すメカニズムは9つあります。「アイディアからアイディアを生む」というメカニズムを10番目として加えようかと考えています。

例えば、イノベーション・ワークショップで出てきたアイディアを分析し、新しいアイディアを生み出すというメカニズムです。それぞれのアイディアの本質を上位概念化し、その上位概念から新しいアイディアを発想します。1つのアイディアを対象にしても良いでしょうし、複数のアイディアに対して構造的類似性を発見し、カテゴリー化しても良いでしょう。

具体例で説明しましょう。エッジコンペ2015(EDGE INNOVATION CHALLENGE COMPETITION 2015)で見事Silver awardを受賞されたチーム「アイデアサカス」の「おふろジェクション」というアイディアを元に新しいアイディアを生み出すことを考えてみます。

このアイディア自身、非常に素晴らしいアイディアです。文字認識技術やラクガキ認識技術を使用した、お風呂の壁へのラクガキという行為を通じて、親子のコミュニケーションを活性化するためのサービスですが、その本質は、お風呂タイムという働くお母さんにとって子供と過ごす貴重な時間を、科学技術を使って”より”楽しい時間にするという点にあると思います。昔からクレヨンの石鹸があり、お風呂で壁にお絵かきは昔からやっていましたが、このアイディアでは、壁に描いた絵が動き出したりするのです。

エッジコンペとは、科学技術と人間視点でイノベーションを起こす実践型アイデアコンペティションであり、科学技術と人間視点をうまく組み合わせるところにフォーカスを当てています。生み出されたアイディアは、科学技術の新しい可能性を示しています。その一例が、ここで紹介した「科学技術によって貴重な時間を”より”楽しい”ものにする」という方向性です。

働くお母さんにとって子供と過ごす貴重な時間は、お風呂タイム以外にもいろいろあります。それを科学技術によって”より”楽しい時間にすることを考えれば、次々にアイディアが生まれてきます。これが「アイディアからアイディアを生む」というメカニズムです。

4)思考パターンをシフトさせる、と近いので一緒にするのも一案かも知れません。これは、濱口メソッド。考え出されたアイディアを分析し、思考パターンを見つけ出し、それをシフトさせることによって、誰も思いつかない意外性の高いアイディアを生み出すという方法です。生み出されたアイディアを材料に使うという点では類似性が高いのですが、どう料理するかが違うので、取りあえず別のメカニズムとしておきましょう。

 

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