大学のパラダイムシフトの兆し:Harvard Innovation lab

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EDGEプログラムの東海岸ビジットでの第一の発見は先日紹介したWashington D.C.のインキュベーションセンター、1776です。今回紹介させていただく第二の発見は、Harvard Innovation lab、大学のパラダイムシフトの兆しです。

それは、学生の起業を支援し、学生の立ち上げたベンチャーを育成するインキュベーションセンターで、素晴らしい空間であることはさすがですが、そのような存在自身は世界中どこにでもあるものです。

では、どこが面白いのかと言えば、1つは、学長のイニシアティブによるもので、全ての学部長がボードのメンバーになっているということです。いくら学長の強いリーダーシップがあったとしても、学内のコンセンサスを得ることは容易ではなかったはずです。相当の議論がなされ、全学のコンセンサスが得られたというのは凄いことです。

面白いと思ったもう一つの点は、プライド高きハーバード大学が、相当の周回遅れでアントレプレナーシップ教育を始めたということです。説明をして頂いた方に、i.school の話をしたところ、i.schoolは始めてどのくらい経っているのか聞かれ、6年と答えたところ、「それはすごい。うちはまだ2年です。」とのことで、意外な反応に驚かされました。アントレプレナーシップ教育の新たな意義を明確にしたのではないかと想像します。一度じっくりと経緯をうかがいたいと思います。

単位も学位も出さず、全ての学部の学生が参加できる点は、i.school と共通しています。グループにハーバード生が入っていれば、他大学の学生も自由に出入りできるという寛大さには驚きました。

大学の一回目のパラダイムシフトは1800年頃ベルリン大学で起こりました。フンボルト・モデルと呼ばれるものですが、教育に研究を結びつけたところ、学生が目を輝かせて勉強するようになったというのがその本質です。アメリカからの留学生がアメリカに帰り、世界初の研究大学院大学ジョン・ホプキンス大学を創り、現在の大学のパラダイムが出来上がりました。

現在、大学にはパラダイムシフトが起こりつつある、というのが私の認識です。200年に1度程度の大きなパラダイムシフトです。研究のための研究に魅力を感じない学生が増えていると感じています。そのような学生は、社会の課題を解決するとか、自分の価値感に合った製品を生み出すなど、価値を創造することに魅力を感じているのではないでしょうか。

教育、研究に価値創造を組み合わせるのが新しい大学のパラダイムではないかと思います。価値創造のために目を輝かせて勉強する学生の存在が、第二のパラダイムシフトの原動力です。人材要素の3要素、スキルセット、マインドセット、モチベーションのなかで、マインドセット、モチベーションを育成するのが、価値創造活動の特徴です。

Harvard Innovation lab もi.schoolも、そうした大学のパラダイムシフトの兆しではないでしょうか。

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