ハーモニーのメリットとデメリット

2015.2.12のイノベーション・サイエンス・ゼミで

Schweiger, David M., William R. Sandberg, and James W. Ragan. “Group approaches for improving strategic decision making: A comparative analysis of dialectical inquiry, devil’s advocacy, and consensus.” Academy of management Journal 29.1 (1986): 51-71.
を取り上げました。
意思決定において、批判的アプローチと調和的アプローチの結果を比較した論文です。批判的アプローチではグループを2つのサブグループに分け、それぞれの意思決定結果をディベート形式で批判し合い、最終的に生き残った結果をグループの決定とします。調和的アプローチでは、サブグループは設けず、メンバー全員の提案に対して議論を行い、グループの意思決定結果をまとめます。
1986Schweiger-etal
主な結果を大雑把に要約すれば、
批判的アプローチによる意思決定結果の質は調和的アプローチのそれより高い(4.27 vs 3.16)。
メンバーの満足度、グループワークを続ける希望は調和的アプローチの方が高い(7.23 vs 8.23)。
i.schoolのワークショップでは、アイディア出しの後、グループのアイディアを絞り込むグループワークを行いますが、そのプロセスは、この調和的アプローチに対応します。メリットはメンバーの満足度向上、デメリットは結果の質低下ということです。一般的に理解されている通りの内容ですが、実際に数値で結果が示されると、結果の質の低下は何とかしたくなります。
アイディア出しでは調和的アプローチ、アイディアの絞り込みでは批判的アプローチというように使い分けることが重要です。論理的な検討を心理的批判にならないように行える「心」を育てることがイノベーション教育の課題です。
大雑把な説明としてしまいました。詳細は論文を当たって下さい。

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